第6世代以降第10世代までのガラス基板の大型化に対応して、従来のカセット搬送から、ガラス基板を1枚ずつ搬送する枚葉搬送が主体となりました。
枚葉搬送化においては、信頼性、タクトの短縮、高速化、クリーン度の確保、省スペース性、コストダウンなど様々な要求が有ります。
ガラス基板のインライン枚葉搬送システムの構築にご検討下さい。
ワイヤーカセットステーション
ガラス基板を複数枚収納したワイヤーカセットから、コンベアまたはローダー・アンローダーにガラス基板を1枚ずつ供給、またはコンベアやローダーからのガラス基板をワイヤーカセットに格納します。2006年にワイヤーカセットが世界で初めて本格的に採用された工場で、当社のシステムが採用されました。以後、エクスチェンジャー、バッファなど様々な形で枚葉搬送の要のシステムとして採用されています。当システムは磁気式非接触駆動伝達機構を採用し、発塵を抑えています。
高速枚葉ローラーコンベア
エア浮上式水平搬送コンベア
当社はエア浮上搬送設備の1号機を1998年に大手メーカーに納入するなど、古くからの実績が有ります。大型ガラス基板高速搬送システムとして、第10世代ガラス基板まで対応します。
特徴
ワイヤーカセットステーション
大型ガラス基板高速(非接触)
搬送システム(ACAシリーズ)
微傾斜エア浮上コンベア
複数サイズ混流枚葉搬送に最適なシステムです。従来、液晶用の薄いガラス基板の混流搬送はかなりのコストアップになっていましたが、微傾斜エア浮上搬送の採用により、大幅なコストダウンと高速化が可能になりました。
特徴
微傾斜エア浮上コンベア
(第8世代ガラス基板対応タイプ)
精密エア浮上コンベア
検査、加工時などにガラス基板の浮上高さをミクロン単位にコントロールする必要が有る場合に用います。
ローラー駆動の場合には点接触の為、ガラス基板の変形が大きくなりますが、エア浮上だとガラス基板の変形が少なく、精密な検査・加工が可能です。
精密エア浮上コンベア
高速枚葉リフター
フロア間搬送、パスライン間の搬送などに使われる昇降装置です。従来、搬送距離が長く、タクト短縮のネック工程でしたが、90m/minの高速昇降(更なる高速化についても検討中)により問題を解決しました。
特徴
高速枚葉リフター
(第8世代ガラス基板対応タイプ)
アレイ工程
特徴
セル工程
ガラス基板ローダー
インラインマルチローダ
ガラス基板箱詰め装置、スタッキングマシーン
ガラス基板出荷ライン
ガラス基板スタッキングマシーン
ピーラー
枚葉フィルム検査装置
ガラス基板とは、薄いガラスのシートで、主に電子機器や光学製品を作るときに使用されます。テレビ、ノートパソコン、スマートフォンなどのフラットパネルディスプレイ(FPD)を初め、薄膜太陽電池、EL照明など様々な平面状光学素子を作る元になる板ガラスとしてのガラス基板として発展してきました。しかし、近年では半導体の基板としての用途が非常に注目されています。
当社(アラインテック株式会社)は、1996年の液晶(LCD)ディスプレイの製造にロボットが導入されて自動化が進み始めた段階から、現在まで液晶パネルをはじめとするフラットパネルディスプレイ製造装置を生産してきました。また、半導体製造装置やガラス基板を用いる各種製造装置も製作しています。このため本ページを開設しています。以下に用途ごとのガラス基板について説明します。
フラットディスプレイパネル(FPD)用ガラス基板とは、テレビ、スマホなどの表示素子としての液晶(LCD)パネルや有機EL(OLED)パネル用のガラス製の基板のことです。
このガラス基板の上に、目的に合った薄膜をつくるため、窓ガラスなどに使われる板ガラスとは成分が異なっています。また、液晶用と有機EL用、太陽電池用でも成分が異なります。
ガラス基板自体の製法としては、通常の窓ガラスと同じように溶融したガラスを水平に取り出すフロート法と、垂直方向に下に取り出すフュージョン法があります。このようにして連続して作られたガラス板を顧客仕様に合わせて切断します。切断されたガラスは、フロート法で製造されたガラスは表面研磨などの後処理をされます。フュージョン法では研磨は不要です。この顧客仕様に合わせて所定のサイズに切断されたガラス基板のことをマザーガラスと言います。切断されたガラス基板は、出荷のために箱詰めされます。ガラス基板を箱に詰める装置をパッカー、パネルに積む装置をスタッキングマシーンといいます。ガラスの厚さは、テレビ用で0.7~0.5mm程度、携帯電話用では0.5~0.3mm程度になっています。汚れや、傷は製品の欠陥になるため、保持できる部分は限定されます。このため、ガラス基板のサイズが大きくなると、取り扱いの困難さが増大します。
マザーガラス基板の大きさは歴史的に次第に大きくなっているため、世代という表現で大体の大きさを示しています。トラックで輸送できるガラス基板の大きさは下記の表にある8世代までのため、それ以上の大きさの10世代のガラス基板は道路での搬送が無理なため、パネル工場に隣接してガラス基板の工場が建設されています。
また、輸送時のガラス基板の破損を防ぐためにも梱包形態が重要になります。5世代程度(下記表参照)までのガラス基板は、隙間を開けて箱詰めされましたが、6世代以降の大型ガラス基板はガラスとガラスの間に紙やフィルムなどの合紙を入れて、ガラスに傷が着かない様にしながら重ねて傾斜したパレットに積みます。このため、積み込むためのパッカーやスタッキングマシーンには大型の多関節ロボットや専用のユニットを使用します。パネルメーカーなどでこの箱やパレットからガラス基板を取り出します。取り出された、ガラス基板は、カセットといわれる容器に入れられます。第6世代以降のカセットは主として多数のワイヤーを張ってガラス基板を支えるワイヤーカセットが使われます。このカセットの状態で製造ラインに供給されます。このカセットからガラス基板を1枚ずつ取り出し、処理装置に供給するとともに、処理したガラス基板を出し入れする装置をローダー・アンローダーといいます。この装置には双腕型のロボットが使われ、処理装置からの取り出しと、供給を続けて行います。
ローダー・アンローダー
ハンド部
ガラス基板用のマザーガラスのサイズは歴史的に次第に大きくなりました。
これは、使われる用途が、電卓から、パソコン、テレビ用になり、さらに現在はテレビ用の最大サイズが100インチを越えるなど、
だんだん大きくなるとともに、コストダウンのために1枚のマザーガラスから取れる製品の数を増やすためです。
主に生産する画面サイズに合わせて効率の良いマザーガラスのサイズが決められます。
このマザーガラスのサイズは世代という表現で、大体の大きさを表しています。
下記に大体の大きさの変遷を示します(TFT液晶用ガラス基板の場合)。
第1世代 | 300×400 | |
---|---|---|
第2世代 | 400×500 | 1996年ごろから。当社も対応開始。 |
第3世代 | 550×650 | 1998年ごろから |
第4世代 | 680×880 または 730×920 | 2000年から |
第5世代 | 1000×1200 または 1100×1300 | 2002年から |
第6世代 | 1500×1800 | 2003年から |
第7世代 | 1900×2200 | 2005年から |
第8世代 | 2200×2400 | 2006年から |
第9世代 | 2400×2800? | 実用化なし |
第10世代 | 2850×3050 | 2009年から |
第11世代 | 検討中 |
2025年現在、スマホ用テレビ用とも画面の大型化・低価格化が進行したため、スマホ用は8.5世代(2500×2200)とテレビ用は10.5世代(2940×3370等)ガラス基板で製造されることが多くなっています。10世代以降になると、1枚ごとの間隔を広くする広くする必要があることから、比較的枚数の少ないカセットが用いられています。また、1枚ごとに搬送する枚葉搬送も用いられます。また、10世代以降の製造装置は、装置が大きくなりすぎ分割しなければ道路輸送ができないなどさまざまな問題があります。
近年、フラットディスプレイの日本での生産はコスト的に合わないため、次第に韓国、更には中国での生産に移り、現状では中国が世界最大の生産国になっています。中国では、主に8.5世代と10.5世代の最新の工場が多数稼動しています。日本国内では、テレビ用のフラットディスプレイパネルの生産はほとんど無くなり、スマホ用もどんどん縮小し、自動車用のディスプレイパネル等への転換が進んでいます。
有機EL(OLED)パネルについては、スマホ用として韓国サムスン社が先行していましたが、現状では中国を中心とした各社が生産の主体となっています。しかし、有機ELテレビは韓国のLG電子だけが生産しています。有機ELパネルについては、画面を曲げられるようにするために、基板としてフィルムを使う折り曲げられるスマホも販売されています。また、0.2mm以下の薄いガラス基板はある程度曲げることも可能なので、これを使った曲がるテレビなども発売されています。
従来、電子機器などに用いられている、半導体や電子部品などを載せる半導体の基板としては、主に、ガラス繊維強化プラスチック(ガラスエポキシ基板)が用いられてきました。電気製品の中に入っている電子部品が載っている緑色をした基板と同じものです。しかし、半導体の大型化や、電子部品をより高密度に積層するために、より温度変化に対する熱膨張率の小さい基板が必要とされるようになってきました。このために、半導体と同じようにシリコン基板で検討されてきましたが、シリコン基板は値段が高くかつ大型化が難しいため、ガラス基板が注目されています。半導体基板には、基板の表面と裏面の電子部品同士をつなぐ導線を設けるために多数の貫通した微細な穴を設ける必要があります。多数の穴が開いたガラス基板は、銅メッキされて裏面と表面の導通が確保されて回路を形成することができるようになります。このガラス基板への多数の微細な穴(目標 穴径100μm以下、深さ1mm以上)の加工は、主として湿式のエッチングが用いられています。しかし、より微細で多数の穴を短時間で設けるためにレーザーで穴をあける技術が開発されています。
このように無数に微細な穴が開いたガラス基板は当初は割れやすく、大型化は難しかったのですが、次第に改良されて割れにくくなり、500㎜角等の大型のガラス基板も実用化できるようになってきました。
太陽電池用のガラス基板は、当初は、薄膜シリコン用(アモルファスシリコン用)及び化合物薄膜太陽電池用として開発されました。しかし、アモルファスシリコンなどの薄膜太陽電池は、変換効率が結晶型シリコン太陽電池に比べて低いため、結晶型シリコン太陽電池の価格低下によりあまり用いられなくなりました。2025年現在は、ペロブスカイト太陽電池用に注目が集まっています。ガラス基板を用いた場合、半透明にして、窓ガラスと置き換えることで、外も見えて発電もできるため注目されています。しかし、ペロブスカイト太陽電池はフィルム上にも製膜できるため、フィルム型の太陽電池として、軽くて曲げられてどこにでも設置できるフィルム型も期待されています。ガラス基板の方が寿命は長いため、使い分けて用いられると思われます。そのほか有機薄膜太陽電池など各種の薄膜太陽電池の基材としてもガラス基板は用いられています。
光学部品用:
光学フィルターとして、特定の波長の光を制御するために、カメラや望遠レンズに組み込まれて用いられます。
センサー用:
各種センサーの基板として用いられます。
薄膜製造用:
ガラス表面に各種の薄膜を作り、製膜した後に薄い膜をガラス基板から剥離して用います。様々な機能性の薄膜や、皮膚などの細胞フィルムの研究用製造用としても使われています。